宙に浮く西宮市の中核市移行
神戸新聞 2003/04/04
「面積(要件)が本当にいるのか―という問題もあります」 元々が自治官僚で、役所の手の内を知り尽くした実力派大臣の発言だけに空気は一変した。 三月十八日、参院総務委員会。面積要件を理由に西宮市の中核市移行を許さない総務省の見解を問う民主の辻泰弘議員(兵庫選挙区)に、片山総務相はあっさり答えた。 「地方に権限を委ねるのが制度の本意ではないか」。議員の追及に総務相はこうも付け加えた。「解釈でどこまで対応できるか、法制局とも相談したい。だめなら、法改正も含め考える。制度のあり方を考えたい」 踏み込んだ答弁をインターネット中継で見守っていた同市の亀井健・総合企画局企画部長は一瞬、耳を疑った。約一年前に消えたはずの「移行」が息を吹き返した。 当の西宮市以上に驚いたのが総務省だった。 答弁翌日、兵庫県市町振興課の担当者が同省自治行政局の行政体制整備室に電話を入れた時の答えはこうだ。 「条文を読む限り、中核市は無理と判断する。ただ大臣答弁通り、法解釈を含めどこまで対応できるか検討したい」。事務当局の当惑が見える。
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